運命の女神
自分の影を捕まえようとした男がいた。
男は影に向かって一歩、二歩と進む。
だが、影は男から離れる。
男は足を速める。それでも同じ事だ。
ついに男は走りだす。男が速く走れば走るほど、
影も早く走る。手に入りそうにない宝物のようだ。
だが、見よ!その風変りな友人は、にわかに振り返ると、
影と反対の方向に歩いていく。
ほどなく後ろを見る。いまや影は男を追いかけてくる。
美しい女性たちよ、私はしばし気づいた........
運命の女神は、われわれをこれと同じように扱うことに。
一人の男が、全力で女神を捕まえようとする。だが、時間と
労力を無駄にするだけだ。
別の男は、どう見ても女神から遠ざかるように走っている。
だが、そうではない。
女神自身は、男を追うのを楽しんでいるのだ。
「寓話集」 イヴァン・クリロフ 1768〜1844
(権力に翻弄されないための48の法則、より抜粋)
女神は気まぐれ、振り向いて、いつ微笑んでくれるのだろうか。
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